blog

My Guitars

ブログ移転の記念に(?)、自分の愛用ギターを紹介してみたいと思います。いきなりマニアックでしょうか!

演奏するジャンルによってフォークやエレキ、クラシックなど色々なタイプのギターを使うのですが、マヌーシュ・ジャズで使われるのは「マカフェリ・タイプ」と呼ばれるギター。「マカフェリ・ギター」や単に「マカフェリ」なんて呼ばれたりもします。

もともとは「マリオ・マカフェリ」さんというギタリスト/楽器職人がクラシック・ギターの改良型として開発して、サックスなどの管楽器で有名なメーカー「アンリ・セルマー・パリ」が発売したギターだそうです。

当時から現在に至るまでたくさんのメーカー、工房からレプリカとして発売されています。

自分はこのマカフェリ・ギターは4本持っていて、音色だったり、演奏環境で使い分けたりしてます。

ではでは、手に入れた順に紹介していきます!

まずは、

「1940’s Antoine Di Mauro」 

1940年代にアントワーヌ・ディ・マウロという職人さんに作られた1本。

自分にとってはこれが2本目のマカフェリ・ギター。それまでは入門用のような楽器を使っていて、当時楽器店に入荷したばかりのこのギターを横のつながりで紹介してもらって、結構安くしてもらって買った思い出があります。

塗装の変色なのか、日焼けなのか、全体的に茶色〜オレンジ色になってアンティークな見た目になっています。

ヘッド裏には「A Di Mauro」の刻印が。

このギターは全体的に少し小振りに作られていて、抱え込んだときのフィット感とか、ネックを握った感じなどが腕が短くて手の小さな自分にぴったりきます。

長年かけて水分が乾燥したためかとても軽くて、移動の途中などでケースに入れたか不安になるくらいです(笑)

音質的には枯れた音色というか、あまり中音域〜低音域が出ない印象です。味がある一方で、音量も小さいのでアンサンブルの中では少し物足りない感じがするのも正直なところ。

でもアコーディオンの伴奏でミュゼットなんかやると、中低域がぶつからないせいかすごいいい雰囲気で伴奏できる(気がします)。

つづきましては…

「Dell’ Arte社 2006年製 Model ‘Jimmy Rosenberg’」

活動しているうちにマヌーシュ・ジャズ的にはやはりもう少し音量があるギターがいいかもなぁなんて思ってた時に出会ったのがこのギター。

名前の通り、ジミー・ロゼンバーグというオランダのギタリストのモデル。Dell’ Arteは当時アメリカのブランドでしたが、その後アジア製になりました。

知り合いが持ってて弾かせてもらった時に、音が大きいし、手に吸い付くようなネックの感触に衝撃を受けて、その場でほぼ買う事を決意しました(笑)

生音がとにかく大きいのですが、なんでもボディーの表面の木が薄いとか、ボディ内部の「力木」という補強の板が少ないとかで、よく振動する=音が大きくなるように設計されているそうです。

これはDi Mauroとは逆で、マカフェリ・ギターの中では少しボディーが大きく作られています。本体にピックアップ(マイク)が埋め込まれているので、ライブではとても使いやすいです。

音楽に参加しているドラマ「孤独のグルメ」の冒頭にかかるテーマ曲「Stay Alone」で弾いているのもこのギターです。

3本目は、修理中で手元にないのですが、「Jean Bareult」というフランスの製作家の楽器。かなり気に入っていたのですが、調子が悪くなって入院中です。また手元に帰ってきたら紹介したい1本です!

4本目はつい最近入手した1本。

「Henri Selmer Paris 1946製 #626」

最初の方にも書いた、このマカフェリ・ギターのオリジナル、いわゆる「本物」!

この楽器は自分がマヌーシュ・ジャズをやり始めて以来お世話になっているライブハウス「BLUE DRAG」のオーナー川村さんが所有していた楽器で、自分のソロ・アルバム「F」の録音でも弾かせていただいた後、縁あってお譲りいただきました。

ボディの側面と裏には’マホガニー’という木が使われているのですが、セルマー社が作ったマカフェリ・ギター約1000本のうち、マホガニー使用のギターは34本と特に珍しいものになるそうです。

音質的には、枯れているけどパワーもある理想的なサウンドで、ソロも伴奏もめちゃくちゃ気持ちよくできます。

最近はほとんどセルマーがメインで、音響的にピックアップがあった方がいい場合などはJimmyモデルを使う感じです。DiMauroはもっぱら自宅でのリハの時の渡辺聖士君の専用になっています(笑)

マカフェリ・ギターに関しては行き着くところまでいったので(^^;)、しばらくは落ち着きそうです。でも思いがけない出会いなどがあるので何とも言えないところ!

左から、Selmer、Di Mauro、Dell’Arte

そういえば今年の6月に行ったパリの楽器屋で、セルマー社が限定で出した復刻モデル(製作者はJean Bareult!)が7000ユーロで売っていて、あれはめちゃくちゃよかったなあ。

参加させていただいてる「新宿アコギの会」の皆さんは1920〜30年代のGibson社の「L5」という、そっちの世界では行き着くところにある楽器を持っていて、実はそちらも狙ってたりもします(笑)

2012.11.26